009

| コメント(0)

「ねぇ、海斗?」

俺は石川サラに何度も呼ばれたから、現実を見せられた気分になった。

「...サラ、悪魔の、能力って何?」

なるべく俺は静かに聴く。大声を出す気力もなかった。
サラは少ししてから話し始める。

「私の質問は後でするよ。悪魔の能力は、一つあるんだけど、...天使の能力が効かない能力。例えば、天使の能力でできた剣で刻まれても、死なないってかんじ。痛いけど」

それだけ?
と海斗は思う。

「ねぇ海斗、次は、私の質問。あの事件の犯人、知ってる?能力持ってんやろ?」

あの事件と聞いて、海斗は少し驚く。
もしサラが俺のことが犯人って知ったら...

どう思う?

「知らなくても、能力で調べられるやろ?」

サラは、天使のことをどこまで知ってる?どんなことを隠してる?今は、聞く気にもならなかった。
今言うべきことは...

「犯人?犯人ねぇ。サラ、何を聞いても、俺の事、好きでいてくれる?」

「あたりまえ!」

右手でVサインをつくってサラは笑った。
海斗は決心した。

「その犯人は...俺、なんだ」

サラはびっくりして声を出せないでいた。
サラだけじゃない。リアも、弥生も。

「う~ん、海斗はやっぱりいい目をしてただけ、おもしろい事、するねぇ」

雷はなぜか普通にしていた。
雷は本当に不思議だ。優しいような、優しくないような。

「そっか~海斗か...。これからも、殺人、続けるん?私達も、殺す?」

サラは俺より自分の命が大切か?

「殺しはやめないよ。でも、サラや雷は、殺さないよ。俺を信じて」

ウソに決まってんだろ?

「うん。信じる。信じてる。海斗」

サラは...悪魔だし...もうどうでもいい。

「わ~い!僕も?僕も殺さないんだぁ」

雷、お前は最後に殺してやるよ。

「わ、私達は!?」

リア、弥生。とことん利用してから殺そうか。

「でも」

サラが呟く。

「でも、悪魔は他にもいるから、そういう人は、殺さないん?」

「何言ってんだよ。世界中の人間殺して自由になるのが夢だし、悪魔、見かけたら殺す。かといって、一気に人は殺さず、じわじわと。リアと弥生は、殺さないでやるよ」

「本当に?よかった~」

バカだ。こいつら、どこまでバカなんだ?
人の心を調べようとしないし...。ま、調べられないように能力でしてるけど...

「...そういえばサラ。お前、悪魔なのに、俺に告ったのか?俺の心配とかしないで」

どんな答えが来るかは、少し不安だった。
やっぱり人を簡単に嫌いになれないんだと思う。

「で、でも私、悪魔って言っても、天使に近い悪魔だし...か、海斗だって何も言わへんかったやん!!天使の能力もらった事」

海斗は少し苛立つ。あー言えばこー言う。

「それはお前に、危険な目に遭って欲しくないからに決まってんだろ!!なのにお前は...悪魔のこと...知らないそぶりして...」

雷が俺の肩に手を置く。そして、首を左右に振った。そして話し始める。

「サラちゃん。悪魔だからって気ぃ抜くなよ。海斗を怒らせる、悲しませるような事したら、殺すから」

「殺せるわけあらへん!!私は悪魔だから、悪魔なんだから!!」

サラは自分は強い、大丈夫、死なない。と言い聞かせるように叫ぶ。

「大丈夫。僕天使界三大王子の一人だから、能力、普通の人よりすごいし」

三大王子?普通よりすごい?
...いやそんな事はまだ興味ない。

「俺、今のサラが本当のサラなら、別れる。バイバイ。短い間ありがとうございました」

海斗はほとんど棒読みで言う。

「...バカ。もう知らへん!!」

サラはそう言ってから、走って教室を出て行く。

「海斗、別れてよかったの?ま、僕は海斗の好きでいいと思うけど♪」

「...雷さん。さっきの、海斗君に嫌われたら終わり...みたいな事言ってたけど、何?」

リアが急に話を変えた。

「?嫌われた、ら終わり?何それ」

俺は意味が分からなかった。サラと裏庭に行ったときの話だろうか?

「...ただ世間話、してただけだよ」

雷がそう言ったらすぐに、リアが倒れかける。
そんなリアを、あせって雷が支える。

「大丈夫?」

そして雷とリアは少し見合っている。少しすると、リアがきょとんとした。

「あれ?私、今さっきまで何言おうとしてたんだっけ?」

雷はその言葉に少しニヤッとした。

「もう、大丈夫?」

リアは記憶がない人みたいに、辺りを見回す。

「あっえ~と。大丈夫、かもです」

と言い、リアは雷から離れる。

「大丈夫そうだね。じゃ、時間動かすよ。あ、リアちゃん。後でちょ~っと話、あるから来てよ。裏庭」

と言い終えると、指をパチンと鳴らした。癖なのだろうか...?
また教室がうるさくなる。

「?別にいいですけど。というか今からでもいいけど」

リアは簡単に言う。

何の話だろうか?...俺には関係ない。
海斗は机に戻り、また勉強を始めた。

コメントする

このブログ記事について

このページは、hitomiが2009年9月 1日 06:00に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「008」です。

次のブログ記事は「010」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。