一方、弥生から離れた雷は、東京タワーの最上階に座っていた。
「くす。弥生って、本当にバカだ」
雷はすっと立ち上がる、
「あはははははっ!!!だまされてるとも知らずに!!僕があんな奴好きに、なるわけないじゃん!!ちょー面白い。人間はバカって思ってきたけど、天使もバカだよ!!」
そして、不気味に笑った。
「天使の名が汚れるよ」
人間界(ここ)に来てる理由は、遊ぶ為じゃないけど、僕の情報がばれるのも面倒だから。
それに、こういうのは、能力を使わず騙すのが楽しいし。
雷はにこりと笑う。
「でも、海斗。君は騙さないよ」
真実はまだ話せないけど、時は動く。
「海斗。覚えてないよね。あの約束」
リヴ、サーティン?
新井って、普通の人だよな?
海斗はリアの方を見る。そして、小さく呟く。
「まだ泣いてんのかよ」
いつになったら泣きやむのやら。10分以上は泣きっぱなしだ。
流石に泣いてる奴をむりやり話させるのは、可哀想だよな。つーかなんで泣いてんの?
ひとまず泣きやんでくんないかな~。
思いが通じたのか、リアが涙を拭いて、顔を上げる。
「あの...ごめんなさい。急に泣いてしまって」
めんどくさいが、いい人ぶるか。
「いや、いいって。何かあったのか?リヴ、サーティンって何?リア、俺を信じて、話してくれないか?」
リアは申し訳なさそうに首を横に振る。
やっぱ話してくれないか...
「分からないんです。私にも。自然と言葉が出てきたというか、えと...」
言った方がいいか、言わない方がいいか、リアは何かに悩んでいる様子だった。数秒後、何かを決めてこっちを向く。
「私...16歳以下の記憶が、ないんです」
俺はつい、「は?」と言いそうだった。今は高2だから17歳。16歳は高1だから普通、ありえないから...
できるだけ海斗はいい人ぶり、
「その16歳以下の記憶、ちょっともないのか?」
と、微笑みながら聞く。
リアは海斗の方を、申し訳なさそうに見て、首を横に振るだけだった。
使えねー奴。と、海斗は思う。能力で記憶を戻そうと思ったが、雷関係は、能力を使わないと決めた。
人から雷の情報を聞かない。と言うと、嘘になるが。
つーか、新井は能力使わないのか?自分の記憶が戻るように...とか。
「あ...あの~」
リアが弱々しく声を上げたので、海斗は一瞬驚く。
海斗は、どうした?とささやくようにして聞く。
「さっき、蚊南田君のこと、心配してここに来ましたよね?あの、授業とかも、さぼったんですか?蚊南田君のために」
海斗は驚いてリアの方を向く。
「やっぱり見てたのか!?」
リアは静かに首を縦に動かす。
海斗の目が、耽耽と、リアの方を見る。
...記憶を消せば。
そう思って、海斗は、記憶がうまくなくなれ、と思う。
そう。これで記憶が一部なくなっていたはず。だったが、
「海斗君、どうして?」
とリアは言う。
何故?何故記憶が消えない!!!
我を失いそうになった海斗は、自分を落ち着かせる。
「リア、ちゃん。記憶、なくしたいんだけど」
海斗は表情をなくして言う。
リアは少し怖くなったのか、声を震わせて呟く。
「え?」
海斗は、怒りを抑え、笑った。
「怯えることはないんだよ。リアちゃん。お互い、知ってる事、隠してる事、全て話そう?」
それでもリアは、海斗の事を、怯えてるのか、震えながら見ている。
海斗は小さく舌打ちをする。めんどうな奴。と思った。海斗はいいことを思いつき、リアの方を向く。こいつをいいように使うには、あの方法しかない。
「俺、リアちゃんのこと、本当は...」
わざとそこで言葉を切る。
リアは怯えつつ、海斗の方を見る。
「俺は、リアのことが好きだ。俺のことを、信じてくれ」
リアと言ったり、リアちゃんと呼んだり、新井と呼んだり、自分でも変かと思う。いや、でも今リアと呼んだのは、心を動かすため。
リアは、バカだから。雷もバカ...と思ったが、自分もバカか、と思う。
「え...嘘...ウソ、ウソ」
リアは怯えている様子はなくなった。
ここまで俺の作戦に乗ってくれるとは。能力で無理に色々やると、どうなるか分からないから、一応能力は使わないでおいた。
記憶をいじれなかったのだから、他のことも、調べられないだろう。多分だが。
「時間を、ください」
リアの、その声で海斗はムリに笑った。
ふりをする。
「大丈夫。心を落ち着かせてからでいいよ。それと、この話や、俺のこと、君の記憶のこと、言わないでくれる?」
リアはうん。と呟いた。
「じゃあ、夜遅くなると、危ないだろう。もう帰ったほうがいいよ」
瞬間移動をする気力もないのか、フラフラ歩いて、海斗の部屋を出る。
ちなみに、海斗の部屋を出て、左の部屋は、リィトの部屋。そのリィトの部屋の左が玄関。リビングなどは、海斗の部屋を右に行ってすぐだ。
「あれ?この人誰?」
とリィトが驚いた声が聞こえる。ムリもない。リアがここに来たのはリィトの睡眠時間。でも、声が聞こえるぐらいのこえを上げていたと思うが。
「ねぇお兄ちゃ~ん。今の誰?まさか彼女...!!」
ちなみにリィトは小学4年生なのだが...。
海斗はめんどくさくなって、リィトをお姫様抱っこする。
「お兄ちゃん。お姫様抱っこってことは、僕を女と見てくれたんだね♪」
海斗はリィトの部屋に入る。置いてある物は、化粧品や、ピンク色の洋服ダンス、ピンク色のベッド、ピンク色の時計、女が読むようなマンガ、カツラ。など様々だ。
「お前は男だろ!!」
「痛っ」
思いっきり投げる。
リィトはぐふっと言ってから、
「愛のムチだね♪」
と笑顔で言う。
「キモい」
と言い残して、リィトの部屋を出る。そして、自分の部屋に戻った。
そして、静かに目をつぶる。
世の中には、使えない奴ばかり。リィトも殺したいとは思ったが、あれでも弟。まだ殺しはしない。
親は、絶対父は殺す。あいつは、母と離婚したのだ。理由は、酒。酒を飲んだら、まず母に暴力。そして、離婚。
当然だ。
海斗は静かに目を開ける。
「世界中の人間(ゴミ)なんて、俺が始末する。そして俺は自由になれる。世界中で、たった一人の人間に」
海斗は不気味な笑みを浮かべた。

コメントする